意識的にブームを生み出し流行させるのではなく、街行く人々が身に着けているファッションや小物が自然発生的に注目度を高めていき、1つのムーブメントになる様子がストリートファッションですが、日本のストリートファッションは世界的に見ても珍しい歴史を歩んできています。
それは日本のストリートファッションの幕開けと言っても過言ではない80年代から90年代、2000年代というように10年間というスパンで変化が起こっており、後から過去の日本のストリートファッションを振り返った際に、取り分けて情報が無くても年代が明瞭に理解できるという様子です。
幕開けとなった80年代は、まだアメリカが遠い存在で気軽に渡米する事ができなかった70年代の憧れが、ファッションにふんだんに落とし込まれたファッションが特徴的です。
そのため、アメリカが舞台となり撮影された映画作品において登場人物達が身に纏っているファッションを真似する様子がよく見られ、今日でも1つのファッションテイストとして存在し、根強い人気があるアメカジが誕生しました。
その後90年代に入っても作品から影響を受けて日本のストリートファッションのブームが作られていきましたが、映画作品がきっかけとなりムーブメントになった80年代とは異なり、90年代は音楽作品がきっかけとなって日本のストリートファッションに取り入れられていきました。
もちろん、音楽作品とは言っても音楽ジャンルの幅は広いためロックバンドやパンクバンドのファッションを真似る方が多く居ましたが、突出していたのはヒップホップアーティストが着用しているファッションを真似るという事です。
本来選定すべきサイズよりもあえて大きなサイズを選ぶ事により、体型に関わらずシルエットを完成させる事ができ、ファッションの多様性が高められるようになりました。
そのような音楽作品から得たファッションテイストによって日本のストリートファッションの多様性は尚一層高まり、今日のようにあらゆるテイストをミックスした日本ならではのファッションスタイルが定着しました。